2012年06月02日
日本陸軍 初期型 九三式双眼鏡&双眼鏡嚢
さてさて今回も旧軍実物装備品をご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのはこちら・・・!
日本陸軍実物 初期型(前期型) 九三式双眼鏡&双眼鏡嚢です。
以前にご紹介した実物 昭和18年製(後期型) 九三式双眼鏡&双眼鏡嚢はこちらです。
http://nihonmasamasa.militaryblog.jp/e331963.html
さてこの双眼鏡ですが、九三式双眼鏡の初期型に当たる品ということです。
一般的に九三式は綿布製が有名ですが、こちらは色々細部が異なります。
私には今だ詳細分からない所もございますが
今回は先にご紹介した九三式との比較も兼ねて細部をご紹介していきたいと思います。
初期型(前期型?)九三式双眼鏡嚢の正面と後面の画像。
先に紹介した昭和18年製九三式では双眼鏡嚢(ケース)は緑色の塗装でしたが
こちらでは茶褐色?に近い色合いのようです。
一見全体は革製のように見えますが、革生地は一部のみです。
双眼鏡嚢の正面部アップ。
蓋の開閉用金具は双眼鏡嚢には一般的なスプリング式です。
革生地によるフラップ式となっています。
これは以前に紹介した九三式と同様ですね。
スナップボタン(ドットボタン)のアップ。
SIDE THE TOPと刻印されています。
九三式は(1933年)採用なので金具に外国製(英国or米国)を使用されていてもおかしくないと思うのですが
軍官給品にわざわざ英字表記するのか少々疑問です・・・
もしかするとこのフラップのみ後付けの物やもしれませんね。
現にこのフラップ側のボタンは双眼鏡嚢本体のボタン用突起といまいちかみ合わせが良くありません。
双眼鏡嚢本体正面の上部の画像。
昭和18年製の九三式ではこの箇所に製造年を示すを捺印があったのですが
この初期型にはありません。
双眼鏡嚢を開けた状態。
このよう双眼鏡はちゃんとコンパクトかつキッチリと収納されております。
双眼鏡嚢内部の画像。
クッション類は見当たりません。
上部の縁は金属で保護されています(覆われている)。
今度は蓋の裏側の画像。
蓋の裏側は金属で完全に覆われており(張られている)、
裏側から生地は露出していません。
しかしこれは結構薄い金属を張っているようですね。
お次は双眼鏡嚢の裏面にあるベルトループ(革帯通し)の画像。
ベルトループは革製です。
なにやらループ部の生地に以前の所有者の物と思われるイニシャルが刻まれていますね・・・(汗
お次は両側面にある負革を通すループ部の画像。
以前に紹介した九三式に限らず同世代の双眼鏡は革製ループで
双眼鏡底部まで負革(もしくは負紐)を通し両側面を繋ぐ形の物が多いのですが
この九三式は金属製ループでしかも両側面を繋がず片側の突起で負革を固定する仕様です。
これは珍しい仕様ですね・・・
初期の九三式はこうだったのでしょうか。
そうなりますとこの形式は何かしらの不便(不備)があったので改良されていったと考えるべきでしょうか。
ともあれ本当に当商品が本当に九三式の物なのかさえ私には把握出来ておりません。
ちなみに・・・この九三式双眼鏡嚢は蓋と本体部とでは材質が異なるようです。
一見同じ材質に見受けれますが、蓋の摺れて磨耗した箇所を確認すると革生地であると推測出来ますが、
しかし本体は革生地でなく繊維製です。
同じ色の塗装を施されているようですが恐らくは両者材質が違うであろうと思われます。
さて続いては双眼鏡嚢の負い革の紹介です。
以前に紹介した昭和18年製では布製の負紐でしたが
今回ご紹介する初期型は革製の負革となっております。
上で記載しました通り、この九三式双眼鏡嚢の負革は片側ずつで固定し吊るタイプですので
負い革の先端このように突起を挟む構造となっています。
負い革の長さ調節は他の負革と同様にバックルで革帯のように調整します。
意外と細身の負革ですね。
さてお次は肝心の双眼鏡本体をご紹介致します。
双眼鏡本体は色剥げなどがあるものの
経年にも関わらず比較的綺麗な状態で驚きました。
とはいえ、これがこの九三式双眼鏡嚢に付属していたオリジナルの双眼鏡かは未知数です。
双眼鏡の接眼側の画像。
メーカーマークとJESねぢという刻印がはっきりと確認できますね。
またシリアルナンバーも確認できます。
傷も少なく本当に素晴らしい状態です。
そして勿論片側のレンズには目盛が存在します。
(またまた画像では分かり難いのですが・・・・上手く撮影できません・・・)
ですがやはり稼動部は固着も少々みられます。
硬いですが・・・しかしちゃんと稼働致します!
専門業者の方に手入れをお頼みしたいところですね・・・
双眼鏡付属の負革の画像。
こちらの状態も素晴らしく、まるで未使用品のような質感です。
(ちなみに画像ではオイルを塗付しております)
もしかしたらこちらは後付けされた物かもしれませんね。
しかし・・・もしこれがオリジナルの物なら・・・保存状態が奇跡的かつ素晴らしかったということになり、
貴重な逸品に他なりません!
さて以上で初期(前期型?)の九三式双眼鏡&双眼鏡嚢の紹介になります。
それでは続いては以前にご紹介した昭和18年製の物と比較していきたいと思います。
やはり並べてみないと差は分かりませんし、検証出来ませんしね・・・
右側が昭和18年製の九三式双眼鏡嚢。
左側は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡嚢です。
まず一見して両者まるで異なるのがお分かりになると思います。
本当に同じ九三式なのでしょうか。自信が無くなってきました・・・(汗)
まずお分かりの通り、大きさがまるで異なります。
左の初期型が最も小型なのがお分かりになると思います。
色も右側の昭和18年製が緑色なのに対し
左側の初期型は茶色に近いものとなっております。
蓋を開いた状態。
右側が昭和18年製の九三式双眼鏡嚢。
左側は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡嚢です。
金具だけでなく細部が全く異なります。
大きさもこれだけ異なるのに同じサイズの双眼鏡本体を収納できるのには驚きです。
蓋の裏側と双眼鏡嚢内部の比較画像。
右側が昭和18年製の九三式双眼鏡嚢。
左側は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡嚢です。
蓋の裏側も仕様が全く異なります。
右側が昭和18年製では裏側には保護するためのクッションが設けられていますが
左側の初期型では金属板のみです。
また双眼鏡嚢上部の縁には型崩れ防止のためか
左側の初期型では金属で補強されています。
唯一共通しているのは後面のベルトループを3つリベット(ピン打ち?)で固定している点ぐらいでしょうか。
続いては本体の材質の違いの比較です。
上は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡嚢。
下が昭和18年製の九三式双眼鏡嚢です。
特筆すべきは上の初期型の材質です。
塗装が剥げて磨耗し劣化している箇所なのですが・・・材質がはっきり分かる画像かと思います。
初期型は昭和18年製の物と異なり、
布製ではなく格子状に荒めに編み込まれた繊維(糸状)の材質となっています。
つまり昭和18年製の物と比べて圧倒的に強度と厚さは弱く、薄いといえるでしょう。
これには驚きです。
実際に現物を確認し、手で触れてみないとわからないと思います。
続いては双眼鏡嚢側面の比較。
右側が昭和18年製の九三式双眼鏡嚢。
左側は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡嚢です。
負紐(負革)の仕様差によって側面のループの仕様も異なります。
昭和18年製ではこの負紐を通すループは革製となっており、リベット(ピン)打ちされて固定されています。
しかし初期型は金属製ループでしかも両側面を繋がず片側の突起で負革を固定する仕様です。
ここも大きな違いが見受けれる箇所です。
続いては負紐の比較です。
右側が昭和18年製の九三式双眼鏡嚢のもの。
左側は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡嚢のものです。
昭和18年製ではこの負紐は布製となっております。
初期型は革製です。
負紐の長さ調整金具の比較。
上が昭和18年製の九三式双眼鏡嚢のもの。
下は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡嚢のものです。
昭和18年製では無段階で調整出来る大型金具となっております。
初期型ではベルトのようにバックル金具のように調整致します。
また負紐の幅の違いも分かり易いと思います。
昭和18年製は幅が広く、初期型では幅の小さいものとなっています。
さて最後に双眼鏡本体の比較をしたいと思います。
右が昭和18年製の九三式双眼鏡。
左は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡です。
塗装剥げ、傷、汚れの有無以外は両者殆ど(全く?)変わらないようですね。
まぁ初期型に関しましてはオリジナルかは分かり兼ねますが・・・・
接眼部のアップ。
上は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡です。
下が昭和18年製の九三式双眼鏡。
シリアルナンバーは上の初期型が50000代。
下の昭和18年製が90000台となっております。
初期型は昭和18年製と比べて40000代も差があるので
製造年は間違いなく先発なのですが・・・
製造番号であるナンバーから推測するに言うほど初期型ではないような気が・・・(恐らく)
またJESねぢという文字の刻印の有無も確認できますね。
同じ双眼鏡でも見比べてみると違いが分かり、本当に面白いです!
続いては前面レンズの比較。
上は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡です。
下が昭和18年製の九三式双眼鏡。
一見何も変哲もないように見えますが・・・決定的に違う箇所がございます。
それは・・・・
レンズに表記されている目盛です。
実はこの目盛り、初期型と昭和18年製とでは位置が逆になっているのです・・・
な・・・なぜ・・・・?
前の所有者が弄ったのでしょうか・・・?
これには正直戸惑いました・・・仕様差なのか定かではありませんが・・・
上は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡です。
下が昭和18年製の九三式双眼鏡。
画像では分かり難いのですが。。。薄っすら目盛りが見えると思います。
左右の基部からそれぞれ真逆の位置にあるのがお分かりになると思います。
ううむぅ・・・・これは一体・・・・!
果たして九三式の年代による仕様差と判断してよいものか・・・
しかしこの目盛り、左右逆でも支障はないのでしょうか・・・?
あくまで私の推測ですが元の所有者の効き目が逆なのでレンズを左右換装した・・・とも考えれます。
(あまり意味がないやもしれませんが・・・・)
考えれば考えるとほど気になりますね。。。
しかし・・・面白い!!!
左は今回ご紹介する初期型の九三式双眼鏡です。
右が昭和18年製の九三式双眼鏡。
形状も殆ど変わりません・・・・
同じといっても過言ではありません。
さてこれで初期型の九三式双眼鏡と昭和18年製の九三式双眼鏡の比較になります。
今回も簡単かつ適当な比較ではありますが・・・
持ち主である当人(私)はとても満足しております。
分からない箇所でも色々推測するのがとても楽しくなってきたからです!
念願の下士官用の九三式を入手できたのも大きいのですが・・・
さて九三式双眼鏡ですが勿論ゲームなどでは使用する予定はございません。
(相当草臥れたジャンク品でしたら話は別ですが)
ですが、この九三式双眼鏡、ちゃんメンテさえしてやれば十分に実用可能です。
もし許されるのなら双眼鏡本体でも使い古したジャンク品探して手入れして実用しようかな。。。
まぁそんなこんなで日本陸軍 初期型 九三式双眼鏡&双眼鏡嚢でした~
今回は以上になります~
でわでわ~ ノシ
いえいえ。こちらの双眼鏡嚢ですが
まだまだ謎の部分も多いので簡単に断定は出来ません・・・
双眼鏡の目盛が左右逆なのは
普通に考えますと果たして軍用として有り得るのだろうか・・・?
とも思ってしまい、こちらも真意は未知数でございます。
(ただ単に私の固体がそのように弄られただけやもしれません)
下士官装備収集ですがどうか頑張って下さい!
私のような稚拙なブログが少しでもお役に立てましたら幸いでございます!
私のブログで間違った情報を発信している事も多々あると思いますので
他の緒先輩方のHP、ブログも是非ともご参考になされて下さい!
申し訳ありません。美品の間違いです。
垂涎物の93式双眼鏡(それも備品)を複数所有されているとは、、、。
前期型の双眼鏡嚢には、金属が使用されているのですね。
また、双眼鏡のメモリの位置が逆とは、、、。
いつも乍の丁寧な比較には脱帽です。大変参考になります。
pk様の95式軍刀(レプリカ)を所有しており、私も下士官用の装備を
少しずつ集め出しております。(ところが予算が、、、)この双眼鏡もいずれは手に入れたいですね。