2014年10月04日
個人業者Sさま製 複製 日本陸軍 昭和十二年制定雑嚢
みなさんおはこんばんちわ!もう10月ですね。
さて今回は前回に引き続きあの業者さまの新製品をご紹介したいと思います。
まずはいつも通り画像から!
こちらは個人業者Sさま製 複製 日本陸軍 昭和十二年制定雑嚢 になります。
軍衣袴や襦袢類を数多く製作販売されている業者Sさまですが・・・
この度、巻脚絆に続いて雑嚢も新たに販売される事になりました・・・!
これは購入せずにはいられない・・・!と思い早速購入致しました。
昭和12年制定の雑嚢ですので支那事変期の軍装にはまさに最適な品でしょう・・・!
また特徴である作りも見事再現されており素晴らしいクオリティを実現されています。
生地のズーム画像。
生地は帆布生地で色合いはカーキ色となっています。
生地は柔らか過ぎる事はなく使い込むとさらに良い質感に変わってくる事でしょう。
それもそのはず・・・この生地はわざわざ特注で製作された帆布生地なのです。
雑嚢本体部の画像。
複製雑嚢は数種類所有していますがこの仕様の物は今回が初めてになります。
ですのでよく見ると細かい箇所に十二年以降制定の雑嚢と差異が見られます。
まずは蓋留め紐の縫い処理の画像。
紐の縫いは二の字型の処理となっています。
旧型の革紐仕様のX型や以降の回型の処理ではなく新鮮な印象です。
二の字型の縫いで単純に見えますがご覧になってお分かりのように何重にも縫い込まれております。
この雑嚢の特徴ある部分も見事再現されています。
こちらは雑嚢の蓋の角部の画像。
蓋の形状は綺麗で端は丸びを帯びた綺麗なカーブをしております。
単純なようで意外とこれは難しいのです・・・
雑嚢の両側面の画像。
雑嚢という性質上、収納量と携行性を考慮して
下部(底部)の生地は大き目に作られております。
雑嚢の下部の画像。
内部の収納物が少ない場合はこのように自然に畳まれるようになっています。
続いては雑嚢の蓋を開けた状態の画像。
中田製に見慣れた方にはお馴染みの仕様かもしれませんね。(微妙に異なるのですが・・・)
左右の下部にそして真ん中上部に紐を通し縛る為のループが縫い付けられています。
勿論、全体的に丁寧な作りで良質で御座います・・・!
そして雑嚢特有の作りを余す事なく再現されています。
紐通し用のループのある前面の上部は画像のように直線ではなく丸みを帯びたカーブの形状をしております。
これは日本軍の雑嚢には多く見られる仕様で(全てとは勿論云えませんが・・・)
Sさまの雑嚢でも勿論再現されております・・・!
紐通し用ループの画像。
紐の材質もよく縫い付けも丁寧そのものです。
紐の形状も左右対称で均等です。
下部の繋ぎ目部分の画像。
上部の繋ぎ目部分の画像。
繋ぎ目の縫いも丹念で出来ており生地同士の合わせもズレが少なく丁寧に繋ぎ合わされています。
さらに前面上部の左右の端には画像のように縫い付けが見られます。
これは内部の仕切りを固定する為のもので御座います。
続いては内部の画像。
上は前部。下は後部の画像になります。
真ん中には仕切りがあり前部は広く後部は狭く小さく作られております。
堅牢な作りですので様々な物をドンドン収納していきたいですね・・・!
こちらは雑嚢内部の最後部(背面)の画像。
この部分には検定印が御座います。
昭和12年制と本廠検定の印にSさま製を表す印で御座います。
見えない部分ですがSさまの品々はこのように細かい部分にも拘りが見られますので本当に好感が持てます・・・!
またこの部分は蓋の根元部分になりますのでそれに伴う縫いが御座います。
6列に沿って等間隔で縫われております。
やはりこの部分の縫いも丁寧で蓋の縫い付けはしっかりしており何度開閉しても全く問題御座いません。
さらにこの部分では負紐や真ん中の蓋留め紐も縫い付けも見られます。
この縫い付けもしっかりと頑丈に縫い付けられているのが分かります。
続いては蓋の裏側の画像。
この部分にも特徴が御座います。
それは蓋留め紐の縫い付けで御座います。
上で記載しましたように蓋留め紐の縫い付けは二の字型をしているのですが
紐と蓋の間には1枚の当て布(補強)がかまされております。
しかしこの当て布は蓋留め紐用の二の字型の縫い付けでしか固定されておらず
シンプルな印象です。しかしこれがこの十二年制雑嚢の特徴でもあるのです。
Sさまはこの特徴も見事再現されております・・・!
蓋留め紐の画像。
蓋留め紐は茶褐色の打紐でチープで薄過ぎるような事はなく目の詰まった紐です。
紐の末端の処理もちゃんとされており実用に最適かと思います。
蓋の裏側は折り返してしっかり縫われております。
続いて負紐部の画像。
現代人にも問題なく肩掛けできるように若干長めに作られております。
この負紐も実物を基に一から製作された逸品です・・・!
幅も広く色合いも素晴らしい印象です。
負い紐の調整用金具の画像。
金具類は朱色?に近い色で塗装されております。
そしてちゃんと焼き付け塗装がされており皮膜が剥がれ難くなっております。
最後に帯革へ吊る為の吊り紐の画像。
吊り紐は幅の広い茶褐色の内紐でこちらは袴用の腰紐と同様の物のようですね。
後面の紐が長く、前面の紐は短めに出来ております。
ということで早速雑嚢の帯革へ吊ってみたいのですが・・・
ここで問題点が・・・
よく考えてみるとこの仕様の雑嚢の購入ははじめてだったのですが・・・
この吊り紐の帯革への装着ですが・・・
どのように結べばよいのでしょうか・・・画像では蝶々結びをしております。
正規な方法などあるのでしょうか・・・意外と盲点でした・・・(汗
最後に中田商店製の昭和十六年制雑嚢と並べてみたいと思います。
右が中田商店製。(未使用のストック分)
左が今回ご紹介するSさま製雑嚢になります。
制定年や各部の仕様は異なるのですが意外な事に大きさも違いますね。
同じ蓋留めは紐式ですが蓋の外観が異なりますね。
下が中田商店製。(未使用のストック分)
上が今回ご紹介するSさま製雑嚢になります。
これは蓋留め紐の縫い付けと裏部の当て布の周囲の処理の違いによるものです。
下が中田商店製。(未使用のストック分)
上が今回ご紹介するSさま製雑嚢になります。
右が中田商店製。(未使用のストック分)
左が今回ご紹介するSさま製雑嚢になります。
右の中田製では当て布は回字状に縫い付けされております。
昭和十二年制から後に中田製のように改良されていったと思われます。
蓋を開いた状態の画像。
右が中田商店製。(未使用のストック分)
左が今回ご紹介するSさま製雑嚢になります。
大きさやループ位置は多少異なりますが構造は殆ど変わらないようですね。
内部の検定印部の画像。
下が中田商店製。(未使用のストック分)
上が今回ご紹介するSさま製雑嚢になります。
蓋留め紐の縫いや横の6列の縫いの差異などにも注目です。
帯革へ吊る部分の画像。
下が中田商店製。(未使用のストック分)
上が今回ご紹介するSさま製雑嚢になります。
中田商店製はホック金具式です。
最後に負い紐の画像。
下が中田商店製。(未使用のストック分)
上が今回ご紹介するSさま製雑嚢になります。
色合いや幅なども異なりますが金具のサイズも異なっております。
さて以上で簡単ではありますが個人業者Sさま製 複製 日本陸軍 昭和十二年制定雑嚢 の紹介になります。
Sさまが遂に雑嚢まで製作販売されたのには驚きました・・・!
しかしそれと同時に嬉しく感じましたね・・・!
これを機にさらに蓋尾錠留め仕様の雑嚢など旧型の物も是非製作して頂きたいですね・・・!
今回ご紹介した昭和十二年制雑嚢ですがやはりSさま製だけあり高品質でお勧めで御座います。
その分、中田製などと比べ少々価格はお高くなりますが・・・高過ぎると云う事は御座いません。
支那事変期の軍装にはまさに最適で昭五式装備にはうってつけでしょう。
勿論、終戦まで使用出来ますので軍装の幅は広いと思います。
さて今回は以上になります。
ではでは~
ノシ